ある物語
白い羽根に似つかわしくない程の黒い服に身を包んだ彼女は塔を訪れていた。
此処には、同じく天使族の友人が働いている。

塔の中は書庫になっており、各国の本が所狭しと並んでいる。
最上階にある部屋には此処の管理人が住んでいるらしい。

「ディーラ。」
友人の名を呼ぶ。
「ディーラ・ヴィネッサをお探しでしょうか?」
背後から女性が訪ねた。
「そうよ。」
呆れたようにエリノアが答えた。
「ディーラ。態とらしい態度はやめて。」
「だって、貴方はお客様。ですもの?」
おっとりとした口調で冗談を言う。
「……ふふっ、そんな怖い顔しないで。」
ディーラは困ったように笑った。
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