ある物語
「ご心配なく。彼以外を虐める趣味はありません故。」
にっこりと爽やかに笑った。
こうして見ると、好青年のようにも見えるから不思議なものだ。
「悪魔め。」
ヴィオレッドは吐くように言い放った。
「悪魔の風貌の天使を虐める悪魔……ふーむ、滑稽。実に面白い。」
態と真面目な目で言った。
「残念ながら、私は人間だが。」
「たとえだよ。」
「それは悪魔族への冒涜かね?そこのお嬢さんもさぞかしお怒りだろう。」
クシュトークはエリノアを見る。
「小さな大人がご無礼致した。どうか、お許しを。」
恭しい挨拶をして、エリノアにお辞儀した。
「ちょっと!まるで、ボクが冒涜したことを肯定するようなことはやめてくれない?」
「おや?違うのかね。」
「……お二人共、公務があるのではないですか?」
呆れたように、レミリアが割って入る。
「馬鹿二人がすみません。お気に触ったのなら、ご容赦を。」
レミリアは静かに宙を舞う。
「いいわよ。騒がしいのはなれてるし。」
エリノアはいつものことかのように言った。
「では。」
「じゃーね!!」
二人が去った。
「これを。」
レミリアが本をエリノアに返す。
「ありがとう。」
「いえ。あの馬鹿が申し訳ありません。」
エリノアにレミリアが溜め息混じりに言った。
「失礼。」
そう言って、ヴィオレッドの方へ去った。
「……嵐のようだわ。」
「ふふふっ。」
ディーラは柔らかく笑った。
「そろそろ、仕事が終わる頃だし……出かけましょうか。」
「そうね。」
時計を見ると、ディーラは奥の部屋に行った。
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