ある物語
そこには、少女が立っていた。
「あら。」
邪魔だったかしらとエリノアは横にずれた。
「……」
少女は無言なまま、首を傾げている。
「……しってるの?」
先程の話を聞いていたのだとその一言で悟ったエリノアは、まぁね。とだけ答えた。
「ふむ。」
少女の後ろから男性がゆっくりと歩いてきた。
「わしを知っておるのか。今時、珍しいものだ。」
「ハルデンさん……!」
エリノアは目を見開いた。
「本の作者だったの。知らなんだ。」
女性が後からやってきた。
「ねぇ?イザヴェル。」
傍らに居る男性を呼ぶ。
「興味はないな。」
イザヴェルは一蹴した。
「はじめまして。本、とても面白くて大好きです。」
エリノアはハルデンにはにかむ。
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