ある物語
「ふむ。物好きよの。あのようなものが好きとは。」
ハルデンは表情を変えずに言った。
「すき?……すき?」
少女はしきりに瞬きをしている。
「すき、だって。」
ハルデンに少女は嬉しそうな表情で笑ってみせた。
まるで、自分のことかのような反応だ。
「メリーゼは、ハルデンさんのこと好きだなー。」
その反応を見てエリーゼは言った。
「そう言うエリーザもそうだろう。」
「まぁね。」
イザヴェルにエリーザと呼ばれた女性は笑った。
「……みんな、すきって……いう。だから、うれしい。」
メリーゼは一生懸命に言った。
「おねぇさんも、すきっていった。それは……たくさん、うれしい。……わたしの、だいじなひと……だから。」
エリノアに微笑むメリーゼをハルデンは何を言うでもない様子で見た。
「……とは言うが、胸糞の悪い話よ。あれは。」
ハルデンはそう言って眉を寄せる。
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