羽柴の彼女
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「はぁーお腹いっぱいだねー、荻野目くん」
朝倉が腹をさする。
帰り道。
辺りはもう、すっかりと暗くなった。
なぜ朝倉が俺を飯に誘ったのか、未だ分からずにいる。
確かに、こいつは度々突拍子もないことをやってのけるようなやつだが。
俺は警戒心むき出しの目で朝倉を睨みながらラーメンを啜っていた。
正直、その味はよく覚えていない。
「荻野目くんにひとつ、まだ教えてないことがあるんだ」
少し先を歩く朝倉の影がぴたりと止まった。
肩が跳ね上がる。
急に止まるな、心臓に悪い。
なんだよ、とあからさまに不機嫌を張り付けたような口調で問えば、やつは俺の方に振り向いた。
右手には、しわしわの白い紙のようなものが握られている。
これに、その答えがあるというのか。
左手を伸ばすと、朝倉はにぃっと不気味に笑って、手のひらの上に、それを落とした。
「それだけじゃ意味は分からないと思うけど、とりあえず見てみるといいよ」
その説明の方が充分に意味不明であるが、そんなこと、今はどうだっていい。
俺は返事もせず、街灯に照らされてオレンジに見えるその白い紙を裏返した。