羽柴の彼女
証拠はあるのか、と言われても良いように朝倉から例の写真は預かっておいた。
萌にとっては辛い現実かもしれないが、それももう仕方ない。
俺には最初から、これしか羽柴に勝てそうな方法がなかった。
一瞬の沈黙。
萌は俯いている。
顔はよく見えない。
傷付いただろうか。
それとも、怒っているのだろうか。
どちらとも取れるような雰囲気を、彼女からは感じた。
だが、一瞬の沈黙は、萌の思いもよらぬ一言によって、切り裂かれることとなった。