羽柴の彼女





同時に、車の波が押し寄せ、俺の声が掻き消される。
それに、言ってる途中で我に返って、正直後半、声量を落とした。
何を恥ずかしいことを仕出かそうとしたのだ。

おそらく、まだ、萌には伝わっていない。
俺は、どこまでも間抜けな人間だ。

今すぐ、この歩道橋を降りて、萌の目の前で伝えよう。
そうしよう。

階段を降りようと歩き出した瞬間。



「遅いのよ、ばぁか!」



萌の声が、耳を掠めた。




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