可愛い彼にはご注意を!
確か、修哉の仕事はケーキ屋のパティシエだったはずだ。
それも有名な店の。
今、目の前に出されたこのケーキもきっと修哉が作ったものに違いない。
あまり甘くないビターのチョコレートでコーティングされたケーキに俺は一口食べた。
「・・・・・・美味しい。」
思わず出た言葉に柚亜は嬉しそうに笑った。
「だよね!お兄ちゃんのケーキは世界一だからね!!」
「うん、甘いのが苦手ってわけじゃないけど・・・食べやすいね。」
「今度、お兄ちゃんに言っておくね。
蓮も美味しかったって言ってたって!!」
修哉のことを自慢の兄として話す柚亜。
本当に修哉のことが好きなんだね・・・。
思わずヤキモチを妬いてしまう。
すると、階段を下りる音が聞こえてリビングに誰かが現れた。
「あら、稔。終わったの?」
結衣さんがニコッと笑って目を向けた人物は・・・・・・死にそうな顔をしていた。
稔って呼ぶことは多分、柚亜のお父さんのことだと思う。