可愛い彼にはご注意を!
「柚亜、少しは俺のこと好きになってくれた?」
「え?」
「俺は、ずっと前から柚亜だけが好きだよ。」
指を絡めて囁かれる言葉。
嘘だ・・・。
私なんかを蓮が好きになるわけない・・・。
酔っているのにそれだけは分かってしまって私もギュッと握り返した。
「ありがとう・・・。
嘘でも、嬉しいよ。」
蓮の言葉が嘘であったとしても私は嬉しかった。
そう言った私の言葉に蓮が切なそうな顔をしていたことに気づかなくて私は言葉を続けた。
「蓮とだったら・・・普通の恋、できたのかなぁ?」
「普通の恋?」
「うん。前に話した私が緒方コーポレーションを目指すきっかけを作ってくれたお姉ちゃんが言ってたの・・・。
普通の恋ができて幸せだったって・・・・・・おかしいよね。」
「どうして?
おかしいところなんて無いと思うけど・・・。」
「おかしいよ・・・。
だって、お姉ちゃん・・・その人と結婚できなかったんだもん。」
「え?」
そう、あの時、私に結婚の素晴らしさを教えてくれたお姉ちゃんは結婚できなかった。
結婚式会場で綺麗なウエディングドレスに身を包みただひたすら自分の愛する人を待っていた。
あの時の姿は綺麗だけど、どこか切なくて私には寂しい姿だと思えてならなかった。
相手の男の人は何をしているんだとかどうして、お姉ちゃんを捨ててしまったの?とか色々と思った。
でも、お姉ちゃんはただ笑って私に言った。