きら星のクリスマス


……開いた口が塞がらないとはよく言ったものだ。




今まさに私は、おしゃれなカフェで開いた口が塞がらない状態になっている。





「……おい、美織?」




よっぽど長い時間口を開けていたからだろうか。心配そうに声をかけられた。





「……今、何て?」





ようやく振り絞って出した言葉がそれだった。どうしても、今の私はさっきの言葉を素直に受け入れることができない。






「……別れよう、美織。」






あぁ、どうやら私の聞き間違いじゃなかったみたいだ。





私は今度こそその言葉を聞き入れ、小さくため息をついて、ゆっくりロイヤルミルクティーを口に運んだ。



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