きら星のクリスマス
「ねぇ!聞いてる?沙希!」
「聞いてるよ。もう何回も。」
でも、そんなすぐに忘れるなんて無理に決まってるじゃん!
私は、その日の夜、強引に同じサークルで同級生の横山沙希(よこやまさき)を呼び出し、愚痴を聞いてもらっていた。
「大体さ、何でクリスマス間際で別れ話なの?私は誠とのデートを想定して、飲み会も断り、忙しいであろうバイト先のシフトも無理やり空けてもらって、時間作ったのに。誠は他に彼女ができたなんて……私、チョーかわいそう……。」
もう何回同じことを口にしただろう。もう何杯のビールを空にしただろう。
「美織。もうその辺でやめといたら?私、どんどん泣きそうになってる美織をこれ以上見たくない。」
次のビールを頼もうとしている私の目の前に、自身のウーロン茶を置きながらそう言う沙希。
「ぐすっ……沙希っていいやつだ!」
「わっ、ちょっ、抱きつかないでって。今、化粧とかとれかけで服についちゃうから。」
そう言いながらも私の背中をポンポンと叩いてくれる。やっぱり持つべきものは親友だよ。