ring ring ring
 高林くんの話によると、はるかちゃんは、忠信さんのマザコン度が深刻であることについても気が付いている様子とのことだった。
 『だって、ちょっとお母さんびいきって程度なら、美波さん、もっと詳しく話してくれると思うの。マザコン気味とか曖昧にして片付けようとした時点で、かなりあやしい〜』
 わたしの心の内は、はるかちゃんにすっかり見抜かれていた。
 「じゃあはるかちゃん、岡田さんに近づいて、どうするつもりなの。まさかマザコンをネタにあれこれ……」
 「それはないっすよ。そんなヤツじゃないし、そんな度胸もないと思います」
 「だよね」
 いや、度胸はあるかもしれないけれど、たしかにそんなことをする子ではない。
 「純粋に岡田さんのこと紹介してほしいみたいです。マザコンいいなーとか抜かしてたんで」
 「いいなー……?!どこが」
 高林くんは、さあー、と首をかしげた。マザコンがいいなんて、はるかちゃんは変わった子だとは思っていたけれど、まさかそこまでとは。
 「おれが紹介を渋ったら、今度美波さんに頼むーとか言いやがったから、それだけはやめろって言っときました」
 そのときの高林くんとはるかちゃんのやり取りを想像して、わたしは笑ってしまった。はるかちゃん独特のペースに翻弄されて、慌てふためく高林くんの姿が目に浮かぶようだ。
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