ring ring ring
 説得しようと思って呼び出したのに、話が変な方に向かっている気がする。
 「わ……わたしならどうするとか、関係なくない?」
 「関係ないことないだろう。どちらかといえば、いちばんおれの立場がわかる人間だと思うよ」
 忠信さんの言うとおりだ。わたしは、最近までもっとも近くにいた者として、彼の現状をいちばん理解できる存在。でもだからって、逆だったらなんて質問しなくても……。
 高林くんと目が合うと、向こうがあわてて視線をそらした。迷惑がられているのか、照れているのかわからないけれど、最近仲よくしているし、拒絶ってことはないはず。と信じたい。
 「わたしは、高林くんとそういう関係になったって平気だけど?」
 なるべく平静に言ってみた。高林くんの反応は……。
 「……ちょ、本気で照れないでよ!わたしまで恥ずかしいでしょっ」
 耳まで真っ赤にして、ゆでだこ状態になっていた。つられてわたしまで顔が熱くなる。そんなわたしたちの様子を見て、忠信さんがひと言呟いた。
 「美波には、おれよりも高林のほうがお似合いだよ」
 余計なことをっ!
 「ちょっと、忠信さんまで、何言ってるの、やめてよー」
 見ると、高林くんはますます照れてしまって、とうとう両手で顔を覆ってしまう始末だった。
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