ring ring ring
 6人の集合場所で、わたしと高林くんはみんなが来るまでベンチに座って待つことにした。土曜日の午後のレジャー施設はとても混み合っていて、高校生くらいのグループやカップル、家族連れなど、それこそ老若男女入り乱れ状態だ。
 疲れた体をベンチに預けて行き交う人々を見ていると、ふと頭をよぎった。この人たちにはわたしたちの関係はどんなふうに見えるのだろう、と。
 友人?先輩後輩?カップルというには、見た目に年の差を感じるだろうか。
 目の前を通り過ぎる女子高生を捕まえて訊いてみたい。わたし、高林くんと並んで歩いても不自然じゃないですかって。
 『わたしたちって付き合ってるのかな』
 これまで何度も訊こうとしつつも飲み込んだ言葉。訊けないのは、自分が高林くんよりも年上で、それは考えないようにしようと思いながらも心のどこかでコンプレックスになっているからだ。イマドキ年上彼女なんて珍しくもないはずなのに気になってしまうのは、ちょっと古いだろうか。
 そもそも高林くんの気持ちがわからないというのも原因のひとつだと思う。好きと言われたことはないし、なんとなくデートを重ねているけれど、ほかにもそういう相手がいるのかもしれないし、この間真っ赤になって照れていたのも、忠信さんにわたしとの仲をからかわれて恥ずかしかっただけかもしれないし、それ以降も今までと変わらず食事に行ったりする程度で、何のアクションもないし。考え始めるとキリがなくて、延々と答えを出せないままのわたしは、
 「付き合ってるんですかね」
 不意に投げかけられた高林くんの問いに、どきりとした。
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