ring ring ring
聞けば、はるかちゃんは忠信さんが週末を利用して大分の実家に帰るという情報をどこからか聞きつけ、誘われてもいないのに同行してしまったという。
「ひとり旅のつもりだったんですけど、岡田さんも大分にいらっしゃるならどこか観光できる場所を案内してくださーいってお願いしたんです」
「ひとり旅のつもりだったの?」
「いいえ、取り繕うための嘘です。でも岡田さん、まんざらでもなさそうだったんですよ」
「で、岡田さんのご実家にまでお邪魔してしまったと」
「そういうことです」
驚きを通り越して、感心せざるをえない行動力。「あ、でもさすがにお泊りはさせてもらなかったのでホテル取りましたけど」と言って「当たり前でしょ」と由紀にどつかれている、その無邪気な笑顔の真ん中には、まっすぐな強い芯が通っているのだ。
「それにしても、美波さん、どうして気付かなかったんですか」
「何を?」
「岡田さんのマザコンのことですよ。わたし、岡田さんがお母さんとお話ししてるところ見て、すぐわかりましたよ」
「それは、はるかちゃんにそういう先入観があるからでしょ」
「違いますよー。あれは誰が見てもすぐ気が付くレベルです!」
「え〜嘘〜、全然わかんなかった……」
由紀が、「美波は鈍感だからなー」と呆れていた。
「ひとり旅のつもりだったんですけど、岡田さんも大分にいらっしゃるならどこか観光できる場所を案内してくださーいってお願いしたんです」
「ひとり旅のつもりだったの?」
「いいえ、取り繕うための嘘です。でも岡田さん、まんざらでもなさそうだったんですよ」
「で、岡田さんのご実家にまでお邪魔してしまったと」
「そういうことです」
驚きを通り越して、感心せざるをえない行動力。「あ、でもさすがにお泊りはさせてもらなかったのでホテル取りましたけど」と言って「当たり前でしょ」と由紀にどつかれている、その無邪気な笑顔の真ん中には、まっすぐな強い芯が通っているのだ。
「それにしても、美波さん、どうして気付かなかったんですか」
「何を?」
「岡田さんのマザコンのことですよ。わたし、岡田さんがお母さんとお話ししてるところ見て、すぐわかりましたよ」
「それは、はるかちゃんにそういう先入観があるからでしょ」
「違いますよー。あれは誰が見てもすぐ気が付くレベルです!」
「え〜嘘〜、全然わかんなかった……」
由紀が、「美波は鈍感だからなー」と呆れていた。