ring ring ring
 高林くんのつれない反応に、わたしが半開きの口からゆっくりと息を吐き、掲げた手を下ろすと、
 「ま……まあ、アレよね。鈍感な人っているもんだしね」
 由紀がフォローを入れた。
 「鈍感にも限度があるっての」
 はるかちゃんは呆れ果てていた。それはあまりにも的確なつっこみだったけれど、高林くんは結婚とか興味なさそうだから、そういう人にとってはそんなものかもしれない。
 「いいよ、べつに、気にしてないから」
 わたしは渇いた笑いを返したけれど、内心では、自分でダイヤの指輪を買って薬指にはめて同僚に見せびらかしているイタい女、と思われているのではとヒヤヒヤしていた。
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