ring ring ring
忠信さんとは互いの家を行き来しているが、今まで彼にわたしの手料理を食べたいと言われたことがない。だからといって彼が作るわけでもなく、食事はいつも外食だった。一度、何か作ろうかと言ってみたけれど、今夜は気になる店があるからとかわされて以来、言い出すきっかけを見失ったというのもある。とはいえ、忠信さんは味にうるさいうえに好き嫌いも多いから、下手に手料理などふるまわないほうがいいのかななんて、勝手な言い訳を作って今日まで来てしまった自分も悪いのだけど。
「ま、一緒に住んじゃえば、どうにでもなるよ。毎日外食ってわけにもいかないしね」
由紀の言うとおりだと思う。結婚は現実なのだから、悩んでいる時間がもったいない。
「今度うちに来たときに、何か作ってみようかな」
「そうそう。有無を言わさず食べさせりゃいいのよ」
「そっか。何か作ろうか、とか言わなければ……あ、ちょっとごめん」
テーブルに置いていたスマホが、メールの着信を告げた。忠信さんだった。
【水曜日の会議がキャンセルになった。会える?】
「今度」は明後日になった。
「ま、一緒に住んじゃえば、どうにでもなるよ。毎日外食ってわけにもいかないしね」
由紀の言うとおりだと思う。結婚は現実なのだから、悩んでいる時間がもったいない。
「今度うちに来たときに、何か作ってみようかな」
「そうそう。有無を言わさず食べさせりゃいいのよ」
「そっか。何か作ろうか、とか言わなければ……あ、ちょっとごめん」
テーブルに置いていたスマホが、メールの着信を告げた。忠信さんだった。
【水曜日の会議がキャンセルになった。会える?】
「今度」は明後日になった。