ring ring ring
得意料理は、ない。
でも、苦手な料理もない。
とはいえ、レシピ本と電子レンジがあれば、たいていのものは作れてしまうし、そうでなくても「○○の素」的な便利なアイテムがスーパーにところ狭しと並ぶ今日において、本来の手料理とはなんぞや、と考えると、わたしは何ひとつ作れないのかもしれない。
「どうしたの、急に」
「急じゃないわ、前から考えてたの。結婚前に、ちゃんとお互いの味を知っておかなくちゃって」
水曜日の定時後、忠信さんが住むマンションに近いスーパーで、わたしは夕食の材料を手に入れようと、カートを押した。その後ろを、忠信さんが、
「そんなの、べつに慌てなくたっていいじゃない」
ぶつくさ言いながら、歩いていた。
でも、苦手な料理もない。
とはいえ、レシピ本と電子レンジがあれば、たいていのものは作れてしまうし、そうでなくても「○○の素」的な便利なアイテムがスーパーにところ狭しと並ぶ今日において、本来の手料理とはなんぞや、と考えると、わたしは何ひとつ作れないのかもしれない。
「どうしたの、急に」
「急じゃないわ、前から考えてたの。結婚前に、ちゃんとお互いの味を知っておかなくちゃって」
水曜日の定時後、忠信さんが住むマンションに近いスーパーで、わたしは夕食の材料を手に入れようと、カートを押した。その後ろを、忠信さんが、
「そんなの、べつに慌てなくたっていいじゃない」
ぶつくさ言いながら、歩いていた。