ring ring ring
 それからわたしたちは、本題を忘れ、仕事のことや社員親睦会の話で盛り上がった。
 「あのときの出し物は、反則だよ。わたし帰り道の電車の中で思いだし笑いしちゃったんだよ」
 「発案はおれだけど、営業部の高田がいちばんノリノリでしたよね」
 「嘘だあ、絶対高林くんだよ。岡田さんも、高林のノリっぷりが最高だったって言ってたよ」
 「違いますってー、みんなひどいな」
 「でも、あのアイデアが出せる人が企画部にいるっていうのは心強いよね」
 「マジっすか、褒められた。……ていうか、岡田さんで思い出した。話がそれちゃいましたね」
 高林くんが腕時計を見た。わたしも壁掛け時計で確認すると、いつの間にか昼休み終了まであと20分を切っていた。
 「岡田さんはどんな人か、かあ。おれにとっては上司だからってのもあるけど、仕事ができて、いろんな意味で気前がよくてかっこいいオトナって感じですかね」
 すでに蕎麦を平らげている高林くんは、出汁をすすりながら言った。
< 47 / 161 >

この作品をシェア

pagetop