ring ring ring
「ごめん、何かあったとかじゃなくて、逆に何もないからわざわざ話題にも出しづらくて。そんなことより、由紀、もっと水分摂ったほうがいいよ。汗かいた分は補給しなくちゃ」
「美波さん、話そらしちゃってあやしい〜。何もないなら、どうして外しちゃったんですか」
もっともな指摘と、もっともな疑問をぶつけるはるかちゃんに、わたしは苦笑いを返した。
「なんていうか、最近、結婚のこと重苦しく考えちゃうことが多くて、だからちょっと息抜きのつもりで、ね」
「息抜き?ほんとにそれだけなの」
「ほんとほんと。ごめんね、心配かけて」
顔の前で両手を合わせて謝ると、由紀はやっと顔を弛ませ、
「もう〜、びっくりさせないでよ。わたしがこの前余計なこと言ったから、それでトラブルにでもなったかと思った」
と笑った。余計なことというのは、たぶん、企画部との飲み会を飛び出したときに言われたことだと思う。
『美波は、ほんとにあの人でいいの』
忠信さんの心ない言葉に傷付いた由紀の発言が、わたしに結婚について考えさせるきっかけになったことは間違いない。でも、それと指輪を外したこととは全然関係のに、心配をかけてしまって申し訳ないと思った。
「この前って、何のことですか」
「何でもなーい。結婚どころか、彼氏すらいないはるかちゃんは、まだ知らなくていいことよ」
「え〜」
置いてきぼりをくったはるかちゃんが、頬を膨らませた。こんな、普通なら苛立つ仕草も、はるかちゃんがするとイヤミがなく素直にかわいいと思える。高林くんったら、身近にこんな子がいるのに、そんな目では見られないなんて贅沢な人だ。
「美波さん、話そらしちゃってあやしい〜。何もないなら、どうして外しちゃったんですか」
もっともな指摘と、もっともな疑問をぶつけるはるかちゃんに、わたしは苦笑いを返した。
「なんていうか、最近、結婚のこと重苦しく考えちゃうことが多くて、だからちょっと息抜きのつもりで、ね」
「息抜き?ほんとにそれだけなの」
「ほんとほんと。ごめんね、心配かけて」
顔の前で両手を合わせて謝ると、由紀はやっと顔を弛ませ、
「もう〜、びっくりさせないでよ。わたしがこの前余計なこと言ったから、それでトラブルにでもなったかと思った」
と笑った。余計なことというのは、たぶん、企画部との飲み会を飛び出したときに言われたことだと思う。
『美波は、ほんとにあの人でいいの』
忠信さんの心ない言葉に傷付いた由紀の発言が、わたしに結婚について考えさせるきっかけになったことは間違いない。でも、それと指輪を外したこととは全然関係のに、心配をかけてしまって申し訳ないと思った。
「この前って、何のことですか」
「何でもなーい。結婚どころか、彼氏すらいないはるかちゃんは、まだ知らなくていいことよ」
「え〜」
置いてきぼりをくったはるかちゃんが、頬を膨らませた。こんな、普通なら苛立つ仕草も、はるかちゃんがするとイヤミがなく素直にかわいいと思える。高林くんったら、身近にこんな子がいるのに、そんな目では見られないなんて贅沢な人だ。