ring ring ring
仕事の話をしていたから、油断した。唐突に切り出されて、心臓が口から飛び出しそうになった。
「え……あ、指輪?えっとね……ちょっといろいろあって、今……」
今、手元にないの、とは言えず、しどろもどろになりながら、何とか取り繕おうとしても、適当な言い訳が浮かばない。なるべく左手を見せないようにしていたけれど、さすがに隠し通せるものではなかった。
「今?」
続きを促す忠信さんの視線が痛い。
「今……ちょっと……」
「この間の温泉で会ったときも、してなかったろ」
「あ、あのときは、だって、温泉に入るってわかってたから。つけたままだと変色しちゃうし」
「じゃあ今日は?」
わたしは、忠信さんと視線を合わせられなくなって俯いた。膝の上の左手をぎゅっと握りしめる。下手に嘘を重ねれば、自分を追い込むだけ。この際、言える範囲で話してしまったほうがお互いのためだ。
「え……あ、指輪?えっとね……ちょっといろいろあって、今……」
今、手元にないの、とは言えず、しどろもどろになりながら、何とか取り繕おうとしても、適当な言い訳が浮かばない。なるべく左手を見せないようにしていたけれど、さすがに隠し通せるものではなかった。
「今?」
続きを促す忠信さんの視線が痛い。
「今……ちょっと……」
「この間の温泉で会ったときも、してなかったろ」
「あ、あのときは、だって、温泉に入るってわかってたから。つけたままだと変色しちゃうし」
「じゃあ今日は?」
わたしは、忠信さんと視線を合わせられなくなって俯いた。膝の上の左手をぎゅっと握りしめる。下手に嘘を重ねれば、自分を追い込むだけ。この際、言える範囲で話してしまったほうがお互いのためだ。