ring ring ring
翌朝、ろくに眠れずに目の下にクマを居座らせたまま、わたしはいつもより早く家を出た。会社のビル前で高林くんを待ち伏せするためだ。
ビルに到着すると、高林くんより早く出社する忠信さんに見つからないよう、まず隠れ場所を探した。あまりあからさまだと警備員に怪しまれるので、ピロティ中央に置かれている謎の巨大オブジェに寄り添って、ときどきスマホをチェックするフリをしながら、入り口から微妙に見えにくい角度で隠れる。
数分後には、忠信さんが入り口に姿を見せた。忠信さんは、とくにキョロキョロすることなく、真っ直ぐエレベーターへ向かってくれたので、わたしはホッとひと息ついて、改めて入り口に視線を向けた。
高林くんは、なかなか来ない。早く来てくれないと始業時間になってしまうとハラハラしていると、ようやく眠そうな顔で歩く高林くんを見つけ、わたしは急ぎ彼の元へ走った。
「高林くん、おはよう!」
「うおっ、びびった!お、おはようございます。どうしたんすか」
「どうしたじゃないわよ!留守電、聞いてくれたよね?」
出社するサラリーマンの群れから突然出て来たわたしに驚いた高林くんは、一気に眠気が吹き飛んだらしく、目を丸くした。
「留守電?あー……」
バツの悪そうな顔で目を逸らす様子に、イヤな予感がした。
「実は昨日、会社にケータイ忘れて帰っちゃって。なんか急用でした?」
予感的中。
ビルに到着すると、高林くんより早く出社する忠信さんに見つからないよう、まず隠れ場所を探した。あまりあからさまだと警備員に怪しまれるので、ピロティ中央に置かれている謎の巨大オブジェに寄り添って、ときどきスマホをチェックするフリをしながら、入り口から微妙に見えにくい角度で隠れる。
数分後には、忠信さんが入り口に姿を見せた。忠信さんは、とくにキョロキョロすることなく、真っ直ぐエレベーターへ向かってくれたので、わたしはホッとひと息ついて、改めて入り口に視線を向けた。
高林くんは、なかなか来ない。早く来てくれないと始業時間になってしまうとハラハラしていると、ようやく眠そうな顔で歩く高林くんを見つけ、わたしは急ぎ彼の元へ走った。
「高林くん、おはよう!」
「うおっ、びびった!お、おはようございます。どうしたんすか」
「どうしたじゃないわよ!留守電、聞いてくれたよね?」
出社するサラリーマンの群れから突然出て来たわたしに驚いた高林くんは、一気に眠気が吹き飛んだらしく、目を丸くした。
「留守電?あー……」
バツの悪そうな顔で目を逸らす様子に、イヤな予感がした。
「実は昨日、会社にケータイ忘れて帰っちゃって。なんか急用でした?」
予感的中。