ring ring ring
少し仕事が残ってしまったので残業をするつもりでいると、手際よく終わらせたらしい由紀は早々と帰る支度をしているところだった。
「ね、今日、忠信さん見てないよね」
残業をしているほかの社員に迷惑にならないよう小声で訊くと、由紀は首を縦に振った。
「昨日の企画展のまとめで忙しかったのかもね」
「それにしたって、昼休みくらいは取れたと思うのに、何の返事もないなんておかしくない?」
「たしかに、あの岡田さんが……とは思うね」
今日は企画部からの人の出入りも少なく、高林くんの姿も見ていなかった。ということは、忠信さん個人というよりは、企画部全体で何かあったのかもしれない。それとも、彼は部署内のリーダー的立場だから、部下の誰かの作業対応にあたっているのかも。前回気まずい別れ方をしたせいで顔を合わせにくいから、それならそれでほとぼりが冷めるまで……と思った矢先、わたしのスマホが震えた。
「岡田さん?」
「うん」
言いながら通話ボタンをスライドして、耳に当てる。由紀は「じゃあ、お先に」と手を振って帰って行った。
「ね、今日、忠信さん見てないよね」
残業をしているほかの社員に迷惑にならないよう小声で訊くと、由紀は首を縦に振った。
「昨日の企画展のまとめで忙しかったのかもね」
「それにしたって、昼休みくらいは取れたと思うのに、何の返事もないなんておかしくない?」
「たしかに、あの岡田さんが……とは思うね」
今日は企画部からの人の出入りも少なく、高林くんの姿も見ていなかった。ということは、忠信さん個人というよりは、企画部全体で何かあったのかもしれない。それとも、彼は部署内のリーダー的立場だから、部下の誰かの作業対応にあたっているのかも。前回気まずい別れ方をしたせいで顔を合わせにくいから、それならそれでほとぼりが冷めるまで……と思った矢先、わたしのスマホが震えた。
「岡田さん?」
「うん」
言いながら通話ボタンをスライドして、耳に当てる。由紀は「じゃあ、お先に」と手を振って帰って行った。