ring ring ring
忠信さんからの電話はひどく事務的で、仕事が終わったら家に来てほしいと告げると、すぐに切られてしまった。声色から、やっぱりまだ怒っているのだとわかった。自分で蒔いた種とはいえ、面倒なことになったものだ。
残業が少し長引いてしまって、時刻は20時をまわっていた。重い足取りで忠信さんが住むマンションのインターホンを押す。すぐに扉が開いて、部屋着に着替えた忠信さんが出て来た。
「おつかれさま。悪いね、待たずに会社出ちゃって。宅急便が届く予定があったものだから」
「いいの、残ってた仕事がいつ片付くかわからなかったし。夕飯は?」
「美波と食べようと思って、待ってた。外に出ようか」
部屋着の上にジャケットを羽織って、忠信さんは玄関に鍵をかけた。
向かったのは常連になっている中華料理屋で、入ると、店のオーナーがいつも通りの明るい笑顔で「いらっしゃい!」と迎えてくれた。
「おれは……えーっと、エビチリと青菜炒めの定食。あと餃子は美波も食うだろ?2人前ね」
「うん。あとわたしは、麻婆飯。少し辛めでお願いします」
注文を済ませると頭の中が麻婆飯でいっぱいになって、突然空腹感が襲ってきた。ぐう、とお腹が鳴ったけれど、賑やかな店内だから誰にも気づかれなかった。
残業が少し長引いてしまって、時刻は20時をまわっていた。重い足取りで忠信さんが住むマンションのインターホンを押す。すぐに扉が開いて、部屋着に着替えた忠信さんが出て来た。
「おつかれさま。悪いね、待たずに会社出ちゃって。宅急便が届く予定があったものだから」
「いいの、残ってた仕事がいつ片付くかわからなかったし。夕飯は?」
「美波と食べようと思って、待ってた。外に出ようか」
部屋着の上にジャケットを羽織って、忠信さんは玄関に鍵をかけた。
向かったのは常連になっている中華料理屋で、入ると、店のオーナーがいつも通りの明るい笑顔で「いらっしゃい!」と迎えてくれた。
「おれは……えーっと、エビチリと青菜炒めの定食。あと餃子は美波も食うだろ?2人前ね」
「うん。あとわたしは、麻婆飯。少し辛めでお願いします」
注文を済ませると頭の中が麻婆飯でいっぱいになって、突然空腹感が襲ってきた。ぐう、とお腹が鳴ったけれど、賑やかな店内だから誰にも気づかれなかった。