ring ring ring
 忠信さんの表情は険しく、わたしとの話し合いには断固として応じる気配がない。一方的に突き放して終わりだなんて、あまりにもひどい。わたしの気持ちなど、どうでもいいと言うのだろうか。
 「そんなの、自分勝手すぎるよ!」
 「自分勝手なのはどっちだ!」
 突然の怒声に、わたしは体をびくりと震わせた。
 「指輪のことだけじゃない!おれの意見に耳を貸さずに勝手に台所で手料理なんて作ったりして。誰もそんなこと頼んでやしないのに!」
 「それは、今後のことを……」
 「今後?式だって入籍だって決まってないんだから、そんなのもっと後だっていいことだ。おれは、きみと同居する日まではママの作った料理を食いたいんだ!」
 「マ……マ……?」
 たしかに言った。ママの作った料理、と。
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