トナカイ×トナカイ~いちごのケーキ~
特にこれといったとりえもなくて、

なんとなく選んだ道だったけれど、

自分で自分が何ものなのかが、

この年になってもまだわからないでいた。

ただ、仕事は嫌なことばかりではないし、

それなりによくやっていると思うのだが。

「しっかりしろよ。

おいらは配達に行く時、

あの苺を一粒食べるんだ。」

「どうして?」

「仕事が楽しくなるから。

いちごのタネの数だけ、な。」

「よくわかんないや。」

すねたように言う。

なんだかいつのまにか、この人(人じゃないけど)の弟になったような気分だ。

「サンタクロースのプレゼントは、

ファミリーコンピューターやゲームボーイだけじゃないってことさ。」

「ますますわかんないよ。」
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