偽装結婚の行方

なんてね。勝手な想像は良くないな。としてもだよ……


「一週間で決着がつくんだろうか？」


という事が問題だと思う。なぜなら、一週間後に俺は尚美のアパートに引っ越す事になっているから。


「あの人に連絡を取ってみようと思いますけど、たぶん一週間では無理じゃないかと……」


だよなあ。俺もそう思う。だったら、どうすればいい？

そんな俺の無言の問い掛けが尚美に伝わったみたいで、


「これ以上あなたに迷惑は掛けないので大丈夫です」


と彼女は言った。


「と言うと？」

「親に本当の事を話します」


ああ、そういう事か。それが普通なんだろうけどな……


「言えるのか？」

「言います。言うしかないので」

「でも、その人の名前を出せるのか？」

「それは……」

「尚美のお父さんって結構厳しい人みたいだから、何としても男の名前を聞き出そうとするんじゃないのか？」


それは容易に想像できた。だからこそ、尚美は苦し紛れに俺の名を言ったのだろうと思う。


「一度嘘をつかれたと知ったら、カンカンに怒るだろうしな？」


追い討ちをかけるようにそう言うと、尚美は唇を噛んで泣きそうな顔をした。それは可哀相だが、実際にそうなるだろうと思う。


よし。やっぱりそうしよう。元々、尚美を助けようと思ったんだから、言ってみれば“乗りかかった船”ってやつだ。


「尚美、俺達……結婚しよう？」