偽装結婚の行方
第五章 新しい生活
伸一君は当然ながら布団には見向きもせず、一番重いベッドを掴んだから、俺もそれに手を伸ばした。伸一君と二人で持とうと思ったからだ。
「俺一人で持つから大丈夫っす」
「いやいや、これ、結構重いから二人で持った方がいいって……」
「大丈夫っす!」
伸一君は怒ったみたいにそう言い、っていうか実際怒ってるのだが、一人でベッドを持ち、部屋を出て行った。
そんな彼を呆然と見送っていると、
「すみません。弟が失礼な態度ばかりとって……」
と、尚美が申し訳なさそうに言った。
「いいって。俺は悪役だから、仕方ないさ」
「え? 悪役……ですか?」
「それはこっちの話。それよか、敬語は禁止だぞ? 伸一君に怪しまれるしな」
「あ、そうですね。じゃなかった、そうね。気を付けなくちゃ……」
「そういう事。よいしょっと……」
とか言いながら、俺は布団を持ち上げた。重くはないが、大きいから困る。伸一君は手伝ってくれそうもないしな。
「私も持ちます」
「いや、大丈夫だから」
尚美が手を貸してくれようとしたが、危ないから断った。すると、
「じゃあ、私はこれを……」
そう言って尚美は大きなボストンバッグを掴んだ。
「それ重いから、やめた方が……」
「いいえ、大丈夫です。よいしょっと……」
実際に重いのだが、尚美は歯を食いしばりながらそれを持ち上げた。そんな尚美が健気で可愛くて、つい俺の頬が緩んだ。
阿部も言ってたが、やはり尚美は性格がいいし、真面目なんだなと、俺は再認識をした。
「俺一人で持つから大丈夫っす」
「いやいや、これ、結構重いから二人で持った方がいいって……」
「大丈夫っす!」
伸一君は怒ったみたいにそう言い、っていうか実際怒ってるのだが、一人でベッドを持ち、部屋を出て行った。
そんな彼を呆然と見送っていると、
「すみません。弟が失礼な態度ばかりとって……」
と、尚美が申し訳なさそうに言った。
「いいって。俺は悪役だから、仕方ないさ」
「え? 悪役……ですか?」
「それはこっちの話。それよか、敬語は禁止だぞ? 伸一君に怪しまれるしな」
「あ、そうですね。じゃなかった、そうね。気を付けなくちゃ……」
「そういう事。よいしょっと……」
とか言いながら、俺は布団を持ち上げた。重くはないが、大きいから困る。伸一君は手伝ってくれそうもないしな。
「私も持ちます」
「いや、大丈夫だから」
尚美が手を貸してくれようとしたが、危ないから断った。すると、
「じゃあ、私はこれを……」
そう言って尚美は大きなボストンバッグを掴んだ。
「それ重いから、やめた方が……」
「いいえ、大丈夫です。よいしょっと……」
実際に重いのだが、尚美は歯を食いしばりながらそれを持ち上げた。そんな尚美が健気で可愛くて、つい俺の頬が緩んだ。
阿部も言ってたが、やはり尚美は性格がいいし、真面目なんだなと、俺は再認識をした。