偽装結婚の行方
週末の土曜日、俺達は買い物に出掛けた。
「本当に買っちゃったのね?」
「何を?」
「自動車よ」
「ああ……。確かに買ったね?」
今はスーパーに来ているが、その前に俺達は車のディーラーに寄り、小型車の購入を決めていた。
「大丈夫なの? お金……」
「大丈夫さ。ローンだし、維持費の方は、ほら、おまえが受け取らないから、その分を回す事にする」
尚美が俺から受け取らないのは生活費だ。寝泊まりし、飯も食わしてもらってるから、相応の生活費を尚美に渡すのが当然なのだが、尚美は頑として受け取ろうとしなかった。
尚美の都合でこうなったのだから、申し訳なくて受け取れないのだという。その気持は解るが、現実的に生活費に困るだろうと思った。尚美は働いていないわけだし。
それを言ったのだが、まだ十分な蓄えがあり、かつ援助を受けているから大丈夫なのだそうだ。
親からの援助かと聞いたら、尚美は首を横に振った。という事は、男からなのだと思う。希ちゃんの父親で、俺と似てるらしい男。たぶん渡辺という総務部長。
そいつから金を貰っているのだと思う。おそらく希ちゃんの養育費として、毎月一定額の援助を受けているに違いない。
それについては詳しく聞こうとは思わなかったし、尚美もその事に触れてほしくなさそうだったけれども。
「本当に買っちゃったのね?」
「何を?」
「自動車よ」
「ああ……。確かに買ったね?」
今はスーパーに来ているが、その前に俺達は車のディーラーに寄り、小型車の購入を決めていた。
「大丈夫なの? お金……」
「大丈夫さ。ローンだし、維持費の方は、ほら、おまえが受け取らないから、その分を回す事にする」
尚美が俺から受け取らないのは生活費だ。寝泊まりし、飯も食わしてもらってるから、相応の生活費を尚美に渡すのが当然なのだが、尚美は頑として受け取ろうとしなかった。
尚美の都合でこうなったのだから、申し訳なくて受け取れないのだという。その気持は解るが、現実的に生活費に困るだろうと思った。尚美は働いていないわけだし。
それを言ったのだが、まだ十分な蓄えがあり、かつ援助を受けているから大丈夫なのだそうだ。
親からの援助かと聞いたら、尚美は首を横に振った。という事は、男からなのだと思う。希ちゃんの父親で、俺と似てるらしい男。たぶん渡辺という総務部長。
そいつから金を貰っているのだと思う。おそらく希ちゃんの養育費として、毎月一定額の援助を受けているに違いない。
それについては詳しく聞こうとは思わなかったし、尚美もその事に触れてほしくなさそうだったけれども。