偽装結婚の行方
暮れも押し迫ったある日の事、真琴からメールが来た。と言っても珍しい事ではないし、文面はいつものやつだ。
『今度の週末、そっちに行っていい?』
またかあ。
『出掛けるから無理』
過去にそうしたように、断りの返事をしようとしてハタと考えた。断り続けるのはそろそろ限界かなと。
実際のところ、週末の休日は買い物したり公園に行ったり、お互いの実家に帰ったりと、まず出掛けない事はない。しかし終日出掛けるわけでもなく、真琴に訪問させるぐらいの時間は取れるはずだ。その気にさえなれば。しかも今度の週末から年末年始の休みに入り、旅行に行くでもない俺達に時間は腐るほどある。
今まで真琴の訪問を拒んできたのは、彼女と尚美を会わせたくないからだ。
前に尚美の事を話した時、真琴はあからさまに不快な顔をし、尚美の事を“図々しい女”と罵った。だから二人を会わせたら、真琴は尚美に何を言うか分からないと思う。
それが嫌だから、真琴の訪問を拒み続けて来たのだが……
うーん、と考え、俺はある事を閃いた。卑怯かもしれないが、なかなかの名案ではないかと思う。
「尚美?」
早速それを実行すべく、テレビを観ていた尚美に声を掛けた。
「ん?」
「今度の週末だけど、おまえ、少しの間実家に帰ってもらってもいいか?」
「いいけど、どうして?」
「友達が家に来たいって言うんだ」
「ふーん。私はいなくていいの?」
「いい。変に気を使わせちゃ悪いから」
「ん……わかった」
これでよし、と……。真琴には騙すようで悪いが、どうしても二人を会わせたくないんだよな。
『今度の週末、そっちに行っていい?』
またかあ。
『出掛けるから無理』
過去にそうしたように、断りの返事をしようとしてハタと考えた。断り続けるのはそろそろ限界かなと。
実際のところ、週末の休日は買い物したり公園に行ったり、お互いの実家に帰ったりと、まず出掛けない事はない。しかし終日出掛けるわけでもなく、真琴に訪問させるぐらいの時間は取れるはずだ。その気にさえなれば。しかも今度の週末から年末年始の休みに入り、旅行に行くでもない俺達に時間は腐るほどある。
今まで真琴の訪問を拒んできたのは、彼女と尚美を会わせたくないからだ。
前に尚美の事を話した時、真琴はあからさまに不快な顔をし、尚美の事を“図々しい女”と罵った。だから二人を会わせたら、真琴は尚美に何を言うか分からないと思う。
それが嫌だから、真琴の訪問を拒み続けて来たのだが……
うーん、と考え、俺はある事を閃いた。卑怯かもしれないが、なかなかの名案ではないかと思う。
「尚美?」
早速それを実行すべく、テレビを観ていた尚美に声を掛けた。
「ん?」
「今度の週末だけど、おまえ、少しの間実家に帰ってもらってもいいか?」
「いいけど、どうして?」
「友達が家に来たいって言うんだ」
「ふーん。私はいなくていいの?」
「いい。変に気を使わせちゃ悪いから」
「ん……わかった」
これでよし、と……。真琴には騙すようで悪いが、どうしても二人を会わせたくないんだよな。