偽装結婚の行方
その後は俺も真琴も眠れる訳はなく、テレビを見るともなく眺めて時間を潰した。
「どうぞ」
真琴が俺にコーヒーを淹れてくれた。あれから真琴は殆ど口を利いてくれないが、そう酷く怒っている風でもない。
「サンキュー」
「ご飯は作らないからね」
「あ、ああ。いいよ」
「会社に行くの?」
「サボりたいところだけど、行かないとな。これ飲んだら支度して行こうと思う」
「そう? それで、これからどうするの?」
「とにかく事実を確認する。尚美は、相手の男の離婚が決まったと言ったんだ。だから俺との偽装結婚は終わりだと。それが本当かどうか確かめる」
「本当だったら?」
「もちろん諦めるさ。きっぱりとね」
「じゃあ、嘘だったら?」
「ん……分からない。とにかく話し合おうと思う。これからの事を」
“話し合う”というのは遠回しな言い方で、本当は俺の気持ちは決まっている。しかし真琴の想いを知っただけに、ハッキリとは言わなかったのだが、
「結婚するの? 偽装じゃなくて、本当に」
逆に、真琴にハッキリ言われてしまった。
「あ、ああ。俺はそうしたいと思ってる。尚美の気持ち次第だけどね」
「素直にそう言えばいいのに……」
「ごめん」
「分かった。頑張りなよ。幸運を祈る、なんちゃって」
真琴はそう言うと、可笑しそうにウフフと笑った。それを見て、やっといつもの真琴に戻ったかな、と俺は思った。
「サンキュー。あのさ、これからも俺達は気の合う友達だよな?」
「それは無理」
「えっ?」
「嘘よ。今までと全く同じとはいかないけど、友達でいてあげるわ」
「すげえ上から目線」
「うふふ」
という事で、真琴とギクシャクせずに済んだのはよかったと思う。さてと、尚美から本当の事を聞き出さないとな!
「どうぞ」
真琴が俺にコーヒーを淹れてくれた。あれから真琴は殆ど口を利いてくれないが、そう酷く怒っている風でもない。
「サンキュー」
「ご飯は作らないからね」
「あ、ああ。いいよ」
「会社に行くの?」
「サボりたいところだけど、行かないとな。これ飲んだら支度して行こうと思う」
「そう? それで、これからどうするの?」
「とにかく事実を確認する。尚美は、相手の男の離婚が決まったと言ったんだ。だから俺との偽装結婚は終わりだと。それが本当かどうか確かめる」
「本当だったら?」
「もちろん諦めるさ。きっぱりとね」
「じゃあ、嘘だったら?」
「ん……分からない。とにかく話し合おうと思う。これからの事を」
“話し合う”というのは遠回しな言い方で、本当は俺の気持ちは決まっている。しかし真琴の想いを知っただけに、ハッキリとは言わなかったのだが、
「結婚するの? 偽装じゃなくて、本当に」
逆に、真琴にハッキリ言われてしまった。
「あ、ああ。俺はそうしたいと思ってる。尚美の気持ち次第だけどね」
「素直にそう言えばいいのに……」
「ごめん」
「分かった。頑張りなよ。幸運を祈る、なんちゃって」
真琴はそう言うと、可笑しそうにウフフと笑った。それを見て、やっといつもの真琴に戻ったかな、と俺は思った。
「サンキュー。あのさ、これからも俺達は気の合う友達だよな?」
「それは無理」
「えっ?」
「嘘よ。今までと全く同じとはいかないけど、友達でいてあげるわ」
「すげえ上から目線」
「うふふ」
という事で、真琴とギクシャクせずに済んだのはよかったと思う。さてと、尚美から本当の事を聞き出さないとな!