NAO
「土田……。お前…。だから……。」
俺は呟く。
土田は声もださずポロポロ涙だけを流しまた泣きだした。
だから長瀬に援交をやらしてお金だけ受け取っていたのか……?
「…うらやましかったの…。真澄がうらやましかった。」
「…えっ?」
土田はぎゅっとこぶしをにぎりしめ泣きながら訴える。
「真澄も母親はでていっていないくせに父親と幸せそうに暮らしてた!毎日お弁当作ってもらって…。私と同じような環境のくせに私にはないものばっかりもってたんだ…。」
「……。」
「真澄はクラスのみんなにちやほやされて…。私ずっと不安だった。自分がいつか一人にされるんじゃないかって!お金がつきればみんなと遊べなくなっちゃう。付き合い悪いとか言われて一人になるのが怖かった…。」
「だから長瀬を…」
「私が一人にされる前に真澄を一人にさせたんだ…。でも真澄はどんな事してもめげないから、どんどん腹がたってやめられなかった…。」
「そっか…。でも土田?もう、わかってるだろ?」
土田は声は出さなかったが『うん』と頭が頷いた。
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