NAO

「今お話があったように僕は明日からアメリカへ行く事になりました。」


突然の先生の転勤で泣き出している生徒までいる。


私は何がなんだか解らなくて理解も出来ず涙なんてでないでいる。


ただただステージで話すなおを見つめ耳に入るなおの声を受け止める事にいっぱいだった。


「去年僕は三年生を受け持ちました。みんなを無事送りだして卒業させてやるのが僕の仕事です…。が、ただ一つ心残りなのがこの学校から送り出してやる事ができなかった生徒がいます」


自然と涙が溢れだした…。

「それだけが唯一心残りで仕方ありません。」


私は泣きながらその場にしゃがみ込む。


「だ、大丈夫!?」


横にいた生徒が心配する。






< 350 / 374 >

この作品をシェア

pagetop