NAO
「聞いて後悔しないか?」
「…しなぃ。」
「そっか。真澄の中では完璧な俺でいてほしかったんだけどな〜」
「……。」
「俺しか見えていない真澄は自分では気付かなかったかもしれないがどんどんダメになっていくのが解った。それを見てるのがつらかった。だから俺は逃げたんだ。」
「うん。」
「人生には順序がある。まず自分のやりたい事をしてからでも結婚は遅くないってのが俺の考えなんだ…。俺は正直アメリカ行きの話があるまでダンスの道に進めなくて後悔した…」
「後悔?」
「うん…。だからこそ俺が愛してる人には俺のせいで後悔なんかしてほしくない。いつか結婚して落ち着いたら『やっとけばよかった』って後悔しても遅いからな。」
「……。」
「人は後悔をすれば過去をたどる。『あの時こうしてれば』とかな。そうなると出会った事までもが後悔になってしまうんだ。真澄にはそんなふうには思われたくないんだ。」
なおはそこまで考えていてくれたんだね。
私なおの何も知らなかったよ。
自分の感情ばかり押し付けてちっともなおの気持ち考えてなかった。
もう少しこうやって大人になって早く気付いていればよかった。
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