NAO


「私達さ〜お金ないんだ〜」


「………。」


「今日の5時駅いって。こないだと同じおじさんがまってるから」


「もうやだよ」


――…パシン


あゆみが私のほっぺを叩いた。


パパにも叩かれた事がない私は思わずあゆみの胸をつかみ
「なにすんのよ!!」


「はなしてよ!!」


あゆみが私をはねのけた。

「そういう事だから駅に行くんだよ。行かないならわかってんでしょ」


あゆみは私を睨み教室をでていく。


そのあとを麻衣が小走りで追いかけ私は一人教室に残された――。



下校する生徒の楽しそうな笑い声だけが遠くで響き私の心を余計に痛めつけたんだ――…。






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