[短]翼を、ください。ー切なく甘いイブの夜を君とー
私はジュンに向かってニッコリ笑った。



「しばらく、さよなら。ジュン。」



「うん。ねぇ、ナナ?」



「何…?」



私が尋ねると彼はそっと私を引き寄せて唇を耳に近づけた。



「天で待ってる。」



「うん。今すぐ行くよ。」



「今すぐはだめだよ。ばか。」



フワリ、彼は私に最後に笑いかけると



ーーーーーーバサッバサッ



大きな翼を広げて、深い闇に溶けて消えてしまった。



「また、すぐ会えるよね?」



私の目には、涙より先に笑顔が浮かんだ。




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