巨人
「イテッ!」

 と、茎雄は噛まれた腕を左手で押さえ、その隙に柿江は赤ん坊を抱いて出て行った。

 茎雄は黙っているわけにもいかず、警察に相談しに行った。

「あれ、どうしました?」

 と、巨人の件で対応した田丸刑事の前にいた。

「それがですね、大変なことがありまして……」

「顔が青いけど大丈夫ですか?」

「ええ、何とか……」

 茎雄の顔色がよほど悪かったのだろう。

「それで?」

「妻が赤ん坊を拾ってきまして、誘拐としか考えられませんので、調べてもらえないでしょうか?」

「それで、奥さんは?」
< 11 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop