巨人
「寒いから着なさい」

 と、茎雄は何度も言った。男の子は首を横に振るだけだった。

「あなた着せて」

 と、柿江が言ったので、茎雄はパンツをはかせようとした。

 下半身に巻いていたタオルが落ちた。

「ああっ!」

 茎雄はまた大きな声を上げた。

 男の子に男女の性器がなかったのだ。

 あの巨人と同じだ。

「見てしまったのね」

 と、柿江は言った。その目はにらんでいたので、茎雄は恐怖心で、一瞬、声が出なくなった。
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