巨人
「泣くなよ」

 と、茎雄が言うと、柿江は何度も首を縦に振った。そしてゆっくりと涙が頬を伝わった。

「ママ!」

 と、男の子が起きてきた。

「あら、もう起きたの」

 と、柿江の態度は普通だが、茎雄は声が出なかった。

 男の子は青年になっていた。口とアゴに薄っすらとヒゲまで生えていし、身長も二メートル近くなっていた。

「こんなに成長が早いのか?」

「そうよ。柿雄どうしたの?」

 と、柿江は巨人に名前つけて呼んだ。

「ママ、お腹すいた」

 と、柿雄はたった一晩の間に言葉が流暢になっていた。
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