巨人
「わあ」

 柿雄は苦しそうにうずくまった。

「柿雄、出たぞ!」

 目の前に巨人が現れた。

 茎雄は突っ立っているだけだった。柿雄は動かない。

 巨人もじっとしていた。

 サイレンの音が近づいてくる。

 パトカーだ。

 だが、ある距離から近づいてこない。

 巨人もいつの間にか走り去っていた。

「いないぞ」

「くそ! 耳鳴りさえなければ」

 柿雄は何度も地面を叩いた。
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