ボーイズ・ビー・アンビシャス



「な、今度おすすめのCD貸してよ」

「いーけど…俺A型だから傷とかつけたらもう貸さねーよ?」

「わかった!超大切に扱う!
えーと…ごめん名前なんだっけ?」

「あ、奥平。奥平風志」



そう言えば、名前を名乗るのも聞くのも忘れていた。

つくづく俺はコミュニケーションがなっていない。




「奥平な!俺は二戸航平。よろしくなっ」



二戸航平。



名前を聞いて思い出した。


あれだ。


この間の部活紹介のときに、まだ2年なのに、バスケ部で目立っていた。



「あ…バスケ部の?」

「そうそう!!」




そうだ、軽やかにシュートをしては、歓声を浴びていた。





"二戸"



みんなにそう呼ばれていた。


あれは今でもよく覚えている。




バスケなんて素人の俺でも、きれいなシュートだと思った。



きっと相当上手いのだろう。










「よろしく…」




俺はまさか奴とこんなに仲良くなるなんて、


こんなに恋い焦がれるだなんて、このときはまだ知らなかった。


< 17 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop