ボーイズ・ビー・アンビシャス
「な、今度おすすめのCD貸してよ」
「いーけど…俺A型だから傷とかつけたらもう貸さねーよ?」
「わかった!超大切に扱う!
えーと…ごめん名前なんだっけ?」
「あ、奥平。奥平風志」
そう言えば、名前を名乗るのも聞くのも忘れていた。
つくづく俺はコミュニケーションがなっていない。
「奥平な!俺は二戸航平。よろしくなっ」
二戸航平。
名前を聞いて思い出した。
あれだ。
この間の部活紹介のときに、まだ2年なのに、バスケ部で目立っていた。
「あ…バスケ部の?」
「そうそう!!」
そうだ、軽やかにシュートをしては、歓声を浴びていた。
"二戸"
みんなにそう呼ばれていた。
あれは今でもよく覚えている。
バスケなんて素人の俺でも、きれいなシュートだと思った。
きっと相当上手いのだろう。
「よろしく…」
俺はまさか奴とこんなに仲良くなるなんて、
こんなに恋い焦がれるだなんて、このときはまだ知らなかった。