ボーイズ・ビー・アンビシャス
目が合った。
笑っている。
”君の笑顔は太陽がよく似合う”
「……っ」
…好きだ。
「The sun suits your smiling face well…… 」
好きだ、二戸。
どうしてこんなときに。
どうして、こんなときに…!
目頭が熱い。
曲はもうすぐ終わりだった。
盛り上がりも最高潮に達する。
気を抜けば、歌詞を間違えてしまいそうだ。
そんなことは絶対したくない。
けど、お前の姿を、見ると。
二戸。
俺、お前が好きだ。
友人としてではない。
一人の人間として、好きなんだ。
いつからなんて、わからない。
気がつけばもう好きだった。
最悪だ。
友達じゃないか。
男じゃないか。
最後の大サビに入る。
半ば叫ぶように、声を張り上げる。
”君の笑顔は太陽がよく似合う”
”こんな想いをするならば、恋などしなければよかった”
叶わない、恋の歌。
こんな、歌。
マイクを握る手の力が、強くなる。
もう10月にもなるのに、汗だくだ。
気持ち悪い。
ライトが熱い。焼けそうだ。
体育館も観客の熱で蒸している。
息が切れる。
普段こんな大声出さないからだ。
ああ。
こんな想いは、友情なんかじゃない。
こんな、焦がれるような想いは。
決して友情なんかではない。
二戸。
本当に、好きなんだ。
こんな、想いは。