ボーイズ・ビー・アンビシャス


時計を見ると、11時を超えていた。


もう少しやったら寝よう。

そう思い、机に向き直ると、携帯が震えた。


メールだ。


二戸からだった。


珍しいな、そう思って開く。







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from 二戸航平
件名 メリークリスマス!





満月がきれいだぞ!


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満月?


これはなにかの隠語だろうか?

いや、そんなの俺らの間にはない。




不思議に思ってカーテンを開けた。




すると、自然に口元が緩んでしまった。




向かいの道にサンタが数人いた。
真ん中は二戸だ。でかいからすぐにわかる。

ほかは推薦入試組の奴らだった。
みんなこっちに向かって手を振っている。




…まぬけな姿。



苦笑して、携帯で写真をとってやった。


通行人に笑われてるぞ、お前ら。



二戸がこっちにこい、とジェスチャーするので上着をつかんで降りていった。



「あれ?どっかいくの?」

妹が顔を出す。


「ちょっとな」

「あーーやしい」

「はいはいそーだね」

「なんかうれしそうだし」

「うるせえな」



妹を無視して外に出る。

12月の夜は想像以上に寒くて、身を縮ませる。



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