ボーイズ・ビー・アンビシャス
「風志!」
「お前ら…」
「メリークリスマス!!」
「ばっかじゃねえの!」
みんなで笑う。
ひとりなんて本物そっくりの口ひげを蓄えている。
この格好で街を歩いてきたのだろうか。
だとしたらほんとうに馬鹿だ。
二戸が腕を組み、偉そうに言った。
「サンタはおりこうさんの家にはちゃあんとくるんだぜ?」
「サンタってお前のことか?」
「おう!」
二戸もまた赤い衣装を着ていた。
背が高いので、足首が見えてしまってなんとも情けない。
「ほんと、ばっかじゃねえの」
笑いが止まらない。
「どーせ独りでさみしいイブだと思ってな。わざわざ来たんだぜ?感謝しろよー」
「お前らだって独り身だろーが」
もちろんここに来た奴らのなかで彼女持ちはいなかった。
「なんだとー!風志!!おい!」
「聞き捨てならねえな!俺らはお前のためになー!」
「はいはいありがとな」
ほかの奴らからヤジがとぶのを適当にあしらう。
「風志、ほら」
「え?」
「メリークリスマス。プレゼントだ」
二戸から手渡されたのは、小さな紙袋だった。
本当に何かくれるとは思っていなかったので驚く。