ボーイズ・ビー・アンビシャス
情報演習室にはすでに友人が数人来ていた。
落ち着かないのは俺だけではなかったらしい。
まだ発表までには時間がある。
みんなで結果発表を見よう、と言い出した張本人は既に机につっぷしていた。
あー、とかうー、とか唸っている。
それを周りの奴らが励ましていた。
やめてくれ、こっちまで気が滅入る。
俺がパソコンの前に腰掛けると、そのうちの一人が声を掛けてきた。
「奥平ー、お前はどうしてそんなさっぱりした顔でいられるんだー?」
「はあ?さっぱりってなんだよ」
「あーちくしょう、余裕を感じる。お前、自信あんだろ」
「そんなのねえよ、絡むなめんどくせえ」
俺だって緊張している。
正直言って吐きそうだ。
実際に吐くことはないだろうが。
「くそっ、お前はいつもそう言って勝ち逃げすんだよ…」
「俺がいつ勝ち逃げしたよ?」
「すんだろーがっ!理系国立クラスでもお前、最終的に一番成績のばしてただろ!知ってんだぞ?」
「……しょうがない。俺の実力だ」
とは冗談を言っても、実際俺は一般的に成績の伸び悩むと言われる受験後期にぐん、と成績が伸びた。
「あーあー、そういうやつっているんだよな!どーせお前は受かるよ!このやろう!」
捨て台詞を吐いて友人は自分のパソコンに向き直った。
そういえば、前に二戸に同じ様なことを言われたな。
お前なら受かる、そんな気がする。
なんて、無責任な。
けれど、その言葉を思い出したことで俺もなんとなくそんな気になってくるから不思議だ。
そろそろ発表の時間も近づいてきている。