ボーイズ・ビー・アンビシャス
滑り止めが受かっているとはいえ、俺の選択肢は二つだった。
親を安心させるために一応地元にある大学も受験したが、そこに入学するつもりはあまりない。
第一志望の東西大学に落ちていたら、その時点で浪人することに決めている。
自分の将来を考えて、今どうしたらいいかだなんて正解はわからない。
でも、これは正解ではないという分別はあった。
妥協をして、地元に残るということは俺にとって正解ではなかった。
わざわざ上京してまで東西大学に入りたいと思ったのは、学びたいことがあったからだ。
県内でも有数の進学校であるうちの高校では、生徒の進学に特に力を入れている。
おかげでいくつかの大学からOB、OGが訪れて、教鞭をとるということが年に数回行われる。
東西大学からは、4年前に卒業したOGが来て、自身の学科で学んでいることについて説明をした。
彼女はもう院に行くことが決まっていて、とても優秀な人物だった。
俺が興味を持ったのは、彼女の在籍する研究室だった。
同じような研究活動をしている研究室は多くあったが、やはり天下の東西大学の研究室は、まず規模が違った。
上京なんて、東京に行きたい奴がするものだと思っていた俺は地元の大学ばかり調べていて、そのことを知らずに進路を決めようとしていた。
とにかく、衝撃だった。
そして強く惹かれた。
やってみたいこと、が、見えた気がした。
そして同時に地元から離れる……二戸と離れるということを考えた。