ボーイズ・ビー・アンビシャス
正直、かなり悩んだ。
我ながら女々しいとも思うが、ネクラな俺のことだ。
東京なんかでひとりでやっていけるか。
というか、二戸のいない土地だなんて。
そんなことを考えている自分に反吐が出そうだった。
付き合っているわけでもないのだし、これからそうなるわけでもないのだ。
しかし、二戸と離れる。
そのことを考えると、果たして東西大学に進学を決めるということが正解なのかひどく悩んでしまうのだった。
友人なんて、一生一緒にいるものではない。
大概の大人を見てみろ。
未だに付き合いのある友人なんて、一握りだろう。
すこし連絡をとらないと、離れると、とたんに疎遠になってしまうものだ。
今までは毎日のように顔をあわせていた人間が、卒業を境に一生会わないことだなんて、珍しいことではない。
俺と二戸が、そうならない可能性だって少なくはない。
現に俺も二戸も連絡無精であるし、物理的な距離ができたらなおさらだ。
俺たちの道は、これから伸びていく。
湾曲し、幾多にわかれ、つながり、ときには戻ったり。
その道は決して平行にはならない。
同じ人生を歩むことは、決してないのだ。
だからこそ、今の短い重なった時間を大切に思う。
愛しく、思う。
この点の時間が、永遠に続けばいいと馬鹿なことを願ってしまう。