ボーイズ・ビー・アンビシャス


最近は合否発表がインターネットで確認できるのが当たり前だ。




時計を見ると発表時刻を2分過ぎていた。

大学のホームページにアクセスする。


合否発表のページはすぐに見つかった。


工学部の欄を探し、クリック。




すると、パッと数字の羅列が表示された。



この中に自分の受験番号があれば、合格だ。


焦る気持ちを抑えて、スクロールする。

その指が、すこし震えた。






102、115…



俺の番号はもっと後ろだ。






338…




まだ、後ろ。






「いよっしゃーーーー!!!!」



思わずビクリとする。



すぐ後ろから歓声が聞こえた。

どうやら番号があったようだ。



ふと気になってさっき話しかけてきた友人の姿を見る。

彼は肘をついて、画面を見つめていた。



「…っ」





名前を呼ぼうとして、口をつぐんだ。


…きっと、番号はなかったのだろう。


もう受験シーズンも終わりだ。




どんな結果にしろ、自分の身の振り方は決めなければいけない。




彼は今、選択しているのだ。





ごくり。




つばを飲み込む。







俺も、決めなくてはいけない。





もう一度画面に向き直り、番号を探す。





540、553…







もう少し。





もう少しだ。





670、689……






あってくれ。





723…




いや、なくていい。




756…








あってほしい。







845…












ああ。











”856”















あった。






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