ボーイズ・ビー・アンビシャス


何度見てもバスケのルールはよくわからない。



こっちを見てガッツポーズする二戸を見てぼんやりと思った。


隣では同級生がわあわあ歓声をあげていた。




「風志、お前も立てよ!」


隣の同級生に言われて半ば無理矢理立たされる。


いや、そんなことよりも俺は真剣に試合を観戦したい。



今のシュートは二戸が入れた訳ではないのに、仲間や観客の賞賛は二戸に向かっていた。


なぜだ?


二戸と友達になってから、バスケのルールは学んだがなかなかこれが難しい。



今のは、あれか?

アシストパスってやつか?



なんて考えるが、俺が二戸から教わったテクニックや技を試合中に俺が気づけたことなんてほんとうに数えるほどである。


以前そうぼやいたら「頭を使うスポーツなんだよ」と馬鹿にされた。




今日は県大会、決勝戦。



さすがに県の代表を決めるとなると、ギャラリーもこれまでと比べ物にならない人数だ。


もちろん選手もそれぞれとてもうまい。


初心者の俺が見てもわかる。





しかし、そのなかでも秀逸しているのが二戸だった。


二戸は背が高いが、バスケットの選手のなかでは小さいほうに入る。
決して強靭な筋肉を持っている訳でもない。

それでも奴の放つボールはその意図を汲み取っているかのように正確に放たれた。




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