偽りの愛は深緑に染まる
「趣味なの? この懸賞応募」
「まあそんなもん」
「ネットで出せばタダなのになんで葉書で」
「ネットは実感湧かねえだろ。さっさとやれよ。断ったら……なんて言わなくてもいいか」
梨沙は唇を噛んだ。よりによってどうして佐渡山にばれたんだ。ああ、誰かの秘密を目にしてしまっても心の中にしまっておけるような人にばれていれば。
「わかりましたよ……やればいいんでしょ」
梨沙は観念して、葉書に宛先と佐渡山の住所を書いていった。読めるか読めないかあやしいくらいの汚い字で猛スピードで書いてやる。
5枚目くらいで嫌になってきた。腕が痛い。しかしまだ軽く数十枚ある。
「あっそうだ、洗濯物も入れといて」
人遣いが荒い。
「あなたの下着なんか見たくもないんですけど」
「はっ、夏目さん意外におもしろ。いいよもう、夏目さんが週末にめかし込んで金持ち男と出歩いて……」
「わかったわかりましたから!」